子どもの頃に大好きだったお菓子とパンの話
もう二度と味わえないだろうけど、小さい頃に食べた忘れられない味が2つある。
ひとつめは、市販のチョコレートのお菓子。
ふたつめは、駅前にあったパン屋さんでよく買ってもらったバタークリームのパン。
チョコレートのお菓子は、どこのメーカーかも忘れたけど、母親がコンビニで買ってきてくれたものをおやつに食べたら、あまりにも美味しすぎてその場で懇願して、2個めを買いに走ったおぼえがある。
ひとくちサイズでもなく、板チョコでもない、変わったかたちをしていて、ミルクチョコレートの中にクラッシュアーモンドが入ったうす型のチョコ菓子で、5枚入りだったような気がする。しかも、5枚ほどしか入っていないのに、200円くらいの、1990年代その当時にしてはなかなかいいお値段だったと記憶している。
しばらくは気に入っておやつにたびたび買っていたのだけど、いつの間にか販売終了になってしまったのか、お菓子売り場の棚から見かけなくなってしまった。
ときどき、ふと思い出しては、どこのメーカーだったかだけでも調べたいなぁと思いつつ、ネットを検索しても手がかりが少なすぎるため、頭の中の記憶が蘇るだけで終わってしまう。
そして、ふたつめのバタークリームのパン。
小さい頃、神奈川に住んでおり、駅前のベルベというパン屋さんでよく買っていたパンで、コッペパンのような形をしていて中にバタークリームが挟んであり、上からチョコレートがかかった、とにかく甘くて美味しいパンだった。
この”バタークリーム”というのが、なんともまたノスタルジックで、今ではパン屋でもケーキ屋さんでもほとんど見かけなくなってしまった。一説によると、いろんな技術の発達により、飲食物の長期保存が可能になってきたため、保存期間は長いが手間のかかるバタークリームより、生クリームが主流になってきたから、という理由らしい。
新しいパン屋に立ち寄るたびに、バタークリームのパンはないか…と探してはみるものの、ベルベのバタークリームパンを超えるどころか、バタークリームのパンそのものがほとんどない。
だったら、自分で作ってみればいいんじゃない?と思い立ち、何度か似たようなものを作ってはみたものの、記憶の中の味を超えられたことはない。
きっと、どちらも”二度と味わうことができない”というフィルターがかかって、ハードルがあがっていることは間違いないと思う。
今の時代、バタークリームのパンやアーモンド入りのチョコレートの味に近いもの、またはそれ以上に美味しいものはたくさんある。
だけど、もう二度とあれらが売っていた時間に戻ることはないのだ、という事実によって、時折無性に、あの大好きだったお菓子とパンにまた出会いたいと思ってしまうのであった。
今回なぜこの日記を書こうかと思い立ったのか、その理由は先日こんなニュースを目にしたからである。
ベルベがまだ神奈川を中心に関東では出店を続けていたことは知っていた。ここ数年はなかなか行けてなかったが、今度お墓参りに神奈川に行けたら、ベルベの店舗を探してみようと思っていた。
だけど、いつかまたベルベのバタークリームパンを食べられる可能性が、まだ2%くらい残っていると勝手に思っていたのに、これではもうほぼ0%になってしまった。
しかも社長が夜逃げって。一番最悪のパターン。
実際に応募したことはなかったけど、いつか探偵ナイトスクープにでもお願いして「子どもの頃に食べて忘れられないあの味を探してほしいんです!」って調査依頼したかったのに。探偵どころではなくなってしまった。
もはや、最後の頼みの綱は、クラッシュアーモンド入のチョコレート菓子である。記憶の中の味として一番近いものは、ポッキーのアーモンドクラッシュという種類の、プレッツェルがない=チョコの部分だけを食べているイメージなので、このプレッツェルがなければ最高なのだが、どうにか作れそうだよなぁ…
と思いながら、明治のマカダミアチョコレートを食べると、美味すぎてだんだんクラッシュアーモンド入りのチョコ菓子のことを考えるのが面倒くさくなり「これでいいや。」となってしまうのだった。